大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(あ)1286 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人日沖憲郎の上告趣意は判例違反をいうが、引用の判例は本件に適切ではな

い。すなわち原判旨は所論の百万円は全部被告人の職務行為に対する謝礼の趣旨で

供与が約束され、そのうち八〇万円が現実に供与されその全額が被告人の所得に帰

したものであり、ただその金の一部が被告人の自由な処分としてA会関係の費用に

も宛てられるであろうということが予想されていたに過ぎないとの意に外ならない。

(第一審判決の判旨も同旨と認められる。)それ故原判決は引用の判例と相反する

判断をしているものではない。論旨は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記

録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

弁護人小池金市の上告趣意第一点は事実誤認の主張であり、同第二点及び第三点

は原審の判旨に副わない事実を前提とする単なる法令違反の主張に外ならない。(

弁護人日沖憲郎の上告趣意に対し説示したように、事実審の認定したところによれ

ば所論八〇万円はその全額が被告人に対する賄賂であるというのであるから、その

うち贈賄者に返還された五〇万を控除し被告人が消費した三〇万円の金額を被告人

から追徴すべきことは理の当然である。)それ故論旨はすべて刑訴四〇五条の上告

理由に当らない。また記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められ

ない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号に従い裁判官全員一致の意見で主文のと

おり決定する。

昭和二九年一〇月二一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

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裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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